高尿酸血症

高尿酸血症とは

高尿酸血症とはプリン体の摂り過ぎなどを原因として血液中の尿酸の値が過剰に高くなった状態を「高尿酸血症」と言います。
そして、足の関節などで尿酸が結晶化し、激しい炎症と痛みを伴う発作のことを「痛風」と言います。尿酸値が高いだけでは基本的に症状はありませんが、痛風を発症した時には、数日間歩行が困難になるほどの激しい痛みに襲われます。
Ⅱ型糖尿病・高血圧症・脂質異常症などとともに、生活習慣病の1つに分類されます。

高尿酸血症の原因

高尿酸血症の原因高尿酸血症は、プリン体の摂り過ぎ、食べ過ぎ、肥満、運動不足など、生活習慣の乱れを原因として発症します。プリン体は、ビールなどのアルコール、鶏レバー、干物類、あんこう、豚・牛レバー、カツオ、マイワシなどの食品に多く含まれています。
また、焼酎、ウイスキー、ブランデーといったアルコールはプリン体の含有量は多くありませんが、アルコール自体に体内でのプリン体生成を促進する作用があるため、アルコール全般が高尿酸血症のリスク要因になると言えます。

初期症状のない高尿酸血症の進行について

尿酸値が高くなるだけでは、ほとんど自覚症状は現れません。その後、痛風発作を起こすことで、初めて顕著な症状として、関節の痛み・腫れが出現します。最初は一時的なものですが、発作を繰り返すほど症状が強くなり、さらに発作の間隔が短くなっていきます。
なお痛風発作は、足や手、あるいは肩・肘・腰・膝など、全身の関節で起こり得ます。

無症候性高尿酸血症期

尿酸値は高くなっている一方で、痛風発作には至っていない段階です。
基本的に自覚症状はありません。
この時期に治療を開始し、尿酸値を適切に下げることで、痛風発作のリスクを下げることができます。

痛風発作期

関節で尿酸が結晶化し、激しい痛み・腫れ・赤みといった症状が現れます。
これらの症状は、数日から2週間ほど続きます。
発作を繰り返すほど、症状は強く、また発作の間隔が短くなります。

慢性結節性痛風期

症状が慢性化し、痛み・腫れ・赤みといった症状が慢性化します。これを放置していると、関節の変形に至ります。
また、狭心症・心筋梗塞、脳卒中といった命にかかわる疾患のリスクが高まります。

放っておくと起こりうる病気

痛風

高尿酸血症を放置していることで合併する代表的な疾患です。
関節の痛み・腫れ・赤みなどの症状を伴います。発作を繰り返すほど症状が強く、さらに発作の間隔が短くなります。慢性化して、関節の変形に至ることもあります。

尿路結石症

脇腹や背中の激しい痛みを伴います。
転げまわるほどの強い痛みに見舞われることもあります。

慢性腎臓病

無症状のまま進行し、やがてむくみ、貧血、息切れ、倦怠感、夜尿などの症状が出現します。

腎不全

腎臓機能が本来の30%程度に落ち込んだ状態を指します。さらに機能が低下すると、人工透析が必要となり、健康だけでなく、仕事や日常生活への影響も大きくなります。

その他

動脈硬化が進行し、狭心症・心筋梗塞、脳卒中など、命にかかわる疾患のリスクが高くなります。

高尿酸血症の検査

問診の上、血液検査を行い、診断します。尿酸値が7.0mg/dl以上の場合に、高尿酸血症と診断されます。
腎臓機能を調べるため、尿検査を追加することもあります。

高尿酸血症の治療法

食事療法

アルコール、プリン体を多く含む食品、食べ過ぎを避ける食事療法を行っていきます。
肥満のある方は、運動療法と組み合わせながら、適正体重を目指します。

食べるとよいもの

以下の食品は、継続的に摂取することで、痛風発作のリスクを下げることができると言われています。

  • 乳製品、低脂肪乳製品
  • 大豆、大豆製品などの植物性たんぱく質

食べ過ぎると痛風のリスクがあるもの

  • アルコール全般(特にビール)
  • 鶏・豚・牛レバー
  • 赤身肉
  • 干物類
  • カツオ、マイワシ、あんこう
  • エビ、カニ、タコ、イカ

運動療法

まず、短距離走、重いダンベルなどを用いた筋力トレーニングなどの無酸素運動は控えましょう。痛風を引き起こす原因となります。
尿酸値を下げる運動としては、ウォーキングなど負荷の軽い有酸素運動がおすすめです。

薬物療法

食事療法・運動療法のみでは十分な効果が見込めない場合には、薬物療法を取り入れます。
尿酸生成抑制薬や尿酸排泄促進薬などを使った薬物療法を行います。

高尿酸血症は治るのか?

高尿酸血症は治るのか?食事療法・運動療法・薬物療法によって尿酸値を正常の範囲に戻すことができれば、食事療法・運動療法を継続しながら、薬物療法を止めることは可能です。ただしその場合も、定期的に検査を受け、尿酸値を適切にコントロールしていくことが大切です。
食事療法・運動療法も治療の一貫ですから、これをやめてしまうと、再度尿酸が高くなります。治療と考えると大変なことのように思えますが、習慣化すれば「食事・運動に気をつけている」くらいの意識で、ほとんど負担を感じず、快適に毎日を過ごせるようになります。