- 胃のできもの「胃ポリープ」とは
- 胃ポリープが出来やすい人は？原因について
- 初期症状はない？胃ポリープの症状
- 胃のポリープは放置すると癌になる？
- 自然治癒の可能性は？
- 胃ポリープの検査
- 胃ポリープの治療法
胃のできもの「胃ポリープ」とは
胃ポリープとは、胃の粘膜に生じる、茎を持った腫瘤のことを指します（平らなものもあります）。
胃ポリープがあるだけでは基本的に無症状であり、バリウム検査、胃カメラ検査などで偶然発見されることも少なくありません。
胃ポリープは、大きく以下のように分類されます。胃底腺ポリープと過形成ポリープは、基本的に良性です。
胃底腺ポリープ
周囲の正常な胃粘膜と同じ色をしており、きれいな胃に発生しやすいポリープです。
悪性化することはまずありません。大きかったり、個数が多かったりしても、基本的には経過観察となります。
過形成ポリープ
正常な粘膜とは異なり、赤みがかった色をしています。ピロリ菌感染が認められる胃に発生しやすいポリープです。
過形成ポリープは、がん化の可能性があります。ピロリ菌の除菌治療でポリープの縮小や消失が期待できます。また手術による切除を行うこともあります。
胃腺腫・胃がん
胃腺腫も多くは良性ですが、一部がん化します。そのため、前がん病変とされています。
胃腺腫、早期の胃がんは、胃カメラによる切除が可能です。一方で進行した胃がんの場合には、開腹手術が必要となることがあります。
胃ポリープが出来やすい人は？原因について
胃ポリープの原因には、加齢、ピロリ菌感染、遺伝などがあります。
胃底腺ポリープか過形成ポリープかによって、リスク要因が異なります。
胃底腺ポリープ
炎症やピロリ菌感染のない、きれいな胃に発生しやすいとされています。
過形成ポリープ
炎症やピロリ菌感染の認められる、荒れた胃に発生しやすいと言われています。
初期症状はない？胃ポリープの症状
胃ポリープがあるだけでは、基本的に自覚症状はありません。ただし、慢性胃炎を合併することが多く、その場合には以下のような症状が現れます。
- 胃もたれ
- 胃の痛み
- 食欲不振
また、過形成ポリープについては、出血によって貧血を起こすこともあります。
胃のポリープは放置すると癌になる？
まず、ほとんどの胃ポリープは、がん化の心配のない胃底腺ポリープです。ただ、胃底腺ポリープであっても、がん化の可能性がゼロではないため、発見後も定期的に検査を受けることが大切です。
一方の過形成ポリープについては、胃がんへと進行する可能性があります。ピロリ菌の除菌治療でポリープの縮小・消失を図ったり、内視鏡による切除を行うなどの治療を検討します。
自然治癒の可能性は？
すべての胃ポリープは、何もせずに放置して自然治癒する（消える）ということはありません。
ただし、過形成ポリープについては、ピロリ菌の除菌治療によって、切除をせずに縮小・消失を図ることが可能です。
胃ポリープの検査
胃カメラ検査
胃ポリープの診断には、胃カメラ検査がもっとも有効です。
バリウム検査では、ポリープの位置や大きさ・形によっては見落としてしまうことがありますが、胃カメラ検査では、カメラを介して粘膜を観察していくため、より正確な診断が可能になります。
またがんが疑われる場合には、組織の一部を採取し、病理組織検査にかけることもできます。
胃ポリープの治療法
胃底腺ポリープは、数が多かったり、大きい場合でもよほどのことがない限り経過観察となります。また、過形成ポリープや腺腫であっても、1センチ以下であれば、こちらも同様に経過観察となります。いずれの場合も、定期的に検査を受けるようにしてください。
それ以外の胃ポリープについては、以下のような治療の対象となり、専門の医療機関への紹介をさせていただきます。
内視鏡的切除
2センチ以上の過形成ポリープや腺腫、あるいは急速に大きくなった胃ポリープについては、内視鏡を使った切除を行います。
ポリペクトミー
隆起し茎のあるポリープの切除に向いている方法です。
内視鏡の先端からスネアという輪っか状の器具を出し、ポリープに引っ掛けて、高周波の電流を流して焼き切ります。
EMR
隆起が少なく茎のないポリープの切除に向いている方法です。
まず内視鏡でポリープの下に生理食塩水を注入し、隆起させます。その上でスネアを引っ掛け、ポリペクトミーと同様に、高周波の電流を流して焼き切ります。
開腹手術
進行した胃がんの場合には、開腹した上で切除する手術が必要になります。