- むくみ・足のむくみについて
- むくみのメカニズム
- 受診はすべき?症状チェック
- むくみやすい人の特徴と原因
- なぜ女性はむくみやすい?
- むくみを伴う病気
- むくみを自分で予防する方法
- 即効性のある顔と体のむくみ解消法
- 検査と治療について
むくみ・足のむくみについて
よく眠れなかった、お酒を飲み過ぎた、1日中立ちっぱなしだったなどで、「むくみ」が気になったという経験がある方も多いのではないでしょうか。こういったむくみは通常、時間が経過すれば自然に解消されます。また基本的に、治療も必要ありません。
ただ、むくみが何日も続いている、毎日むくんでは治まりを繰り返している、他の症状を伴うといった場合には注意が必要です。
全身に現れるむくみ
むくみは、手足、顔、胸、背中など全身に現れます。その中でも頻度が高いのが、足です。
特に、手や足の片側(右側だけ、左側だけ)にむくみが生じている場合には、何らかの疾患を原因としている可能性が高くなります。
むくみのメカニズム
むくみは、毛細血管から細胞間へと流入する水分の量が増えたり、毛細血管・リンパ管に吸収される水分の量が減ることで発生します。
足のむくみについては、何らかの原因によってふくらはぎの筋肉の「ポンプ機能」がうまく働かない場合に起こります。肺・心臓に戻る血流が下肢に溜まることで、むくみが生じるのです。
受診はすべき?症状チェック
むくみは、誰もが一度は経験している症状です。それゆえに、本来であれば受診が必要であるのに受診しない・受診が遅れるといったケースも見られます。
以下、受診の目安をご紹介いたしますので、参考になさってください。
急いで受診するべき症状
- 身体の片側(左側だけ、右側だけ)にむくみが出ている
- 普段通りに生活する中で、急にむくみが出てきた
早めに受診するべき症状
- むくみがなかなか治まらない
- 毎日、むくんでは治まりを繰り返している
- むくみ以外にも症状がある
むくみやすい人の特徴と原因
よくむくむという人もいれば、ほとんどむくみを経験したことのない人もいます。
その違いは、どこにあるのでしょうか。
長時間同じ姿勢で過ごす
長時間の立ち仕事は、むくみの代表的な原因と言えるでしょう。ふくらはぎのポンプ機能がうまく働かず、特に足にむくみが出やすくなります。また、座りっぱなしであっても同様の症状が現れることがあります。
運動不足
慢性的な運動不足は、血流の低下、筋力の低下を招きます。いずれも、むくみのリスク要因となります。
年齢を重ねてからも筋力を維持するためには、意識的に運動を取り入れる必要があります。
過度なダイエット
食事を抜くような過度なダイエットは、栄養不足を招き、筋力低下や貧血を引き起こします。
足のポンプ機能が正常に働かず、足のむくみが出やすくなります。
飲み過ぎ
アルコールの作用として、血管内脱水があります。飲み過ぎによって血液の濃度が高くなると、身体は血管内に水分を送り込みます。この際に取り込んだ水分が、むくみの原因となります。
自律神経の乱れ
自律神経の乱れは、水分の代謝の低下を招き、むくみの原因となることがあります。
自律神経の乱れの原因には、ストレス、睡眠不足、不規則な生活リズム、ホルモンバランスの変化などが挙げられます。
冷え
身体が冷えると、血流が低下します。水分・老廃物が正常に排出されないことから、むくみを引き起こすことがあります。
塩分の取りすぎ
塩分は、水分を抱え込む性質があります。塩分の摂り過ぎによって、身体の中に水分が溜まり、むくみを引き起こします。
ビタミン、ミネラル、タンパク質の不足
ビタミンB1、カリウム・カルシウム・マグネシウム、タンパク質の不足は、むくみの原因になることがあります。
なぜ女性はむくみやすい?
女性は、男性と比べると筋肉量が少ないため、冷え、血流の低下などが起こりやすい傾向にあります。また足のポンプ機能も、男性と比べるとやはり弱くなります。
冷え、血流の低下、ポンプ機能の不足は、いずれもむくみのリスク要因となります。こういった下地があるため、女性は比較的むくみが出やすいということが言えます。また、足を出す服装・締め付けの強い服装をする機会が多いといったことも、多少なりとも影響するものと考えられます。
むくみを伴う病気
心臓の病気
心臓の病気によってポンプ機能が正常に働かない「心不全」になると、全身の血流が低下し、むくみが起こりやすくなります。
腎臓や肝臓の病気
血液中に存在するアルブミンというタンパク質は、血管に水分を取り込む・排出するという役割を担っています。これにより浸透圧が適切に調整されています。
腎臓や肝臓の病気になりアルブミンの量が減少すると、血管内の水分量の調整がうまくいかなくなり、むくみを引き起こす原因となります。
甲状腺疾患
甲状腺機能低下症になると、全身の新陳代謝が低下します。これにより体内の水分の代謝もうまくいかなくなり、むくみが生じる原因となります。
リンパ浮腫
リンパ節を切除した後などに、リンパ液の流れが滞ることで生じるむくみです。リンパ浮腫が悪化し、リンパ管炎を合併することもあります。
下肢静脈瘤
脚の静脈にある逆流防止弁の異常、ポンプ機能の低下などによって、静脈が瘤のようにボコボコと盛り上がったり、透けて見えたりする病気です。その症状の1つとして、むくみを伴うことがあります。
深部静脈血栓症
食事・水分を摂らずに長時間窮屈な姿勢で過ごすことにより、静脈に血栓が生じる病気です。下肢(片側)のむくみ、腫れ、痛みなどの症状をきたします。
血栓が下腹部・太もも、膝を走る深部静脈に詰まると、重症となります。また肺に詰まった場合には、肺塞栓症に至ります。
むくみを自分で予防する方法
疾患を原因としないむくみについては、以下のような方法による予防効果が期待できます。
- 塩分を摂りすぎない
- アルコールを飲み過ぎない
- 適度な運動(特に下肢をしっかり鍛える)
- ふくらはぎのマッサージ、ストレッチ
- 十分な睡眠を確保する
- ストレスをうまく解消する
- 医療用弾性ストッキングを着用する
- 身体を締め付ける服装、身体を冷やす服装を避ける
即効性のある顔と体のむくみ解消法
顔のむくみ
ホットタオルで温める
ホットタオルを顔に当て、血行を促進することで、むくみの改善が期待できます。
ホットタオルは、絞ったタオルを電子レンジで1分ほど温めることで簡単につくることができます。
クリームを使ったマッサージ
クリームを使って、顔の中心から外側へとマッサージをします。
入浴後などに行うと効果的です。
洗顔を工夫する
冷水とぬるま湯を交互に使い、血管の収縮・拡張を促します。
体のむくみ
ストレッチ
ストレッチは、血流やリンパの流れを改善します。
継続することで、予防効果も期待できます。
クリームを使ったマッサージ
クリームを使って、むくみのある部分をマッサージします。
心臓から遠い位置→近い位置へと血液・リンパを押し流すようにマッサージをすると効果的です。
入浴して全身を温める
身体をあっためると、血液・リンパの流れが良くなり、むくみの改善が期待できます。
ぬるめのお湯に、やや長く浸かるのがおすすめです。
検査と治療について
問診、視診、触診の上、必要に応じて超音波検査、血液検査、尿検査、レントゲン検査などを行います。
むくみの原因となる疾患が見つかった場合には、各疾患に応じた治療を行っていきます。また疾患が見つからなかった場合も、ご自宅でできるむくみ対策を指導した上で、経過を観察していきます。
より精密な検査、高度な治療が必要になった場合には、しかるべき医療機関へと速やかにご紹介いたします。